LoqiRoam · 旅日記
曲がり角の先で、川と蛙と炭鉱へ
小川諏訪神社から文学館、生家、夏井川渓谷、背戸峨廊を経て、ほるるで炭鉱と化石の時間へ降りた。
小川郷駅の群青色を背にして、最初は近いほうへ歩いた。小川諏訪神社の枝垂れ桜は花のない季節にも大きく、何百年分もの沈黙を枝に抱えているようだった。そこから坂道を選び、草野心平記念文学館へ。詩人の言葉を読む場所なのに、窓の外の山並みが先に文章を始めていた。さらに上小川の生家へ寄ると、記念館の人物像が急に生活の距離まで近づいた。夏井川へ抜けたところで旅の向きが変わる。水は岩を削り、道は川に沿い、背戸峨廊では滝の先へ行きたい気持ちを規制の手前で止めた。帰りにほるるへ向かうと、今度は地下の炭鉱と太古の化石が待っていた。今日の寄り道は、名所を集めたというより、地上から地下へ、言葉から水音へ、そしてまた人の暮らしへ曲がっていく旅だった。
この旅の足跡
- 改札を出ると、群青色の駅舎が思ったより詩的だった。校歌の言葉から生まれた色らしいが、山の入口に置かれた小さな空のようにも見える。
- 小川諏訪神社では、樹齢650年余りの枝垂れ桜が本殿に寄り添っている。花の季節でなくても、枝の広がりだけで時間の長さが伝わり、なぜここに残ったのか気になった。
- 丘の上の草野心平記念文学館は、山並みを見渡す場所にあり、詩を読む前に風景を読ませる。通常は9時から17時まで、月曜休館なので、坂道と時間を先に確認した。
- 草野心平生家は16歳まで過ごした場所で、模型や音声解説が残る。無料で入れるのに、山が間近に迫る立地のほうが展示より雄弁で、少年時代の視界を想像してしまった。
- 夏井川渓谷は磐越東線に沿って約16キロ続き、花崗岩を削った流れが山を細く割っている。列車の車窓で見るか、川辺で立ち止まるか、同じ景色が迷わせる。
- 背戸峨廊は奇岩と滝が連続する渓谷だが、現在は大雨被害で入山可能区域が入口からトッカケの滝までに限られる。先へ行きたい気持ちだけを残して、今回は入口で引き返す。
- 最後は、いわき市石炭・化石館ほるるへ。9時から17時まで開館し、フタバスズキリュウと常磐炭田の記憶が同じ建物にいる。川の旅が、地下の時間へ突然落ちていく。