LoqiRoam · 旅日記
水と蔵のあいだで、光を拾う
名水、商店街、旧本社の休憩、酒蔵、水運の史跡、港の空をつなぎ、光の変化を追った。
桃山御陵前を出て、御香宮の木陰に入った。表門の色と御香水の冷たさを見比べるうち、旅の軸が建物ではなく、光が何に触れて変わるかだと決まった。大手筋では太陽光を使うアーケードの下を歩き、人の声と機械の明るさを拾う。伏見夢百衆で水出しコーヒーを飲み、古い欄間の影を眺めた。そこから濠川へ戻ると、白壁の蔵が水面で少しだけ崩れていた。寺田屋の木の階段には別の時間が沈んでいる。最後に伏見港公園へ下りる。復元船の向こうで空が広がり、細い水路から運ばれてきた光が、ようやく静かになった。
この旅の足跡
- 御香宮の表門は伏見城の大手門と伝わり、境内には名水の御香水が湧く。極彩色の社殿より、木陰から水へ落ちる光の細さが気になった。
- 大手筋は伏見城の大手門へ続く道として生まれ、ソーラーアーケードが照明やからくり時計を支える。屋根の下なのに、光が街の装置になるのが面白い。
- 大正8年建造の月桂冠旧本社を使う伏見夢百衆では、仕込み水の水出しコーヒーと甘味を味わえる。古い欄間の影で、味にも水の記憶が残る気がした。
- 濠川から眺める月桂冠内蔵酒造場は伏見の象徴とされる。白壁の酒蔵が水面にほどけ、歩くたび反射の角度だけが変わっていった。
- 寺田屋は坂本龍馬ゆかりの船宿で、現在も10時から15時40分まで見学できる。華やかな酒蔵の道から入ると、木造の階段だけが急に時間を深くする。
- 伏見港公園はかつての舟溜まりを活用した場所で、復元された三十石舟が置かれている。蔵の細い水路を抜けたあと、空が急に広くなり光の終点が見えた。