LoqiRoam · 旅日記

影の長さを測る午後

樹林、明治建築、展望、公園、古民家、森、水辺をつないで、影の姿が変わる一日を歩いた。

西那須野を出て、まず乃木神社の樹林に入った。道は明るいのに、木々の下では音まで少し低くなる。そこから那須野ヶ原の開拓を伝える旧青木家那須別邸へ向かい、鱗形スレートの壁に落ちる枝の影を眺めた。歴史は年号より、建物の表面に残る光の受け方で近くなるらしい。那須野が原公園のサンサンタワーでは視界を上げ、平らに見える土地にも木立の細い陰影が連なっているのを見つけた。午後の途中、築150年の古民家を移築した夢屋で梁と天窓を見上げ、ガレットの湯気にいったん旅を預けた。最後は那須平成の森を抜け、木の俣渓谷へ。森の影は水にほどかれ、流れの底で揺れ続けていた。帰り道、影を追っていたはずの私が、いつの間にか光の変化を追っていたことに気づいた。

この旅の足跡

  1. 乃木神社の境内は樹林に包まれ、参道の明るさが木々の下で急に薄くなる。夫妻を祀る場所なのに、私にはまず風の通り道として感じられた。
  2. 明治21年築の旧青木家那須別邸は、鱗形スレートの外壁とドイツ様式の構法を残す重要文化財。光を受けた壁面が、普通の洋館より静かに揺れて見えた。
  3. 那須野が原公園のサンサンタワーは高さ33メートル。上から見る平地は穏やかなのに、細く伸びる木立の影だけが地面の起伏を教えてくれた。
  4. 築150年の古民家を移築した夢屋では、太い梁の下で地元食材のガレットやカレーを味わえる。天窓の光が、食卓より梁の上に長く留まっていた。
  5. 那須平成の森は、かつて御用邸用地として管理された約560ヘクタールの森。自由散策の森とガイド専用の学びの森に分かれ、影にも立ち入り方の違いがある。
  6. 木の俣渓谷は木の俣川と那珂川の合流点へ続く水辺で、駐車場の利用時間は季節により定められている。透明な流れの底の影が、今日いちばん動いていた。
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