LoqiRoam · 旅日記

水面、瓦、蔵の低い音

飯盛山の螺旋から庭園、博物館、赤瓦の城、喫茶、酒蔵へ。歩く身体と土地の記憶が少しずつ重なった。

一ノ堰六地蔵尊を出て、最初に向かったのは飯盛山だった。さざえ堂の中では、上っているのか下りているのか身体の感覚がほどけ、足音だけが先へ進んだ。そこから街の中心へ戻り、御薬園の池と薬草の庭で呼吸を整える。福島県立博物館では、会津の歴史や民俗、自然が一つの場所に重なっていることを知り、外の暑ささえ遠くなった。鶴ヶ城では赤瓦が空に映え、城が守るためだけの建物ではなく、季節を受け止める器にも見えた。歩き疲れたところで會津壹番館の朝の喫茶に入り、街の物語を湯気の向こうから眺める。終着は末廣酒造の嘉永蔵。木の梁と酒の気配に耳を澄ますと、旅のはじめに探していた音は、遠くの名所ではなく、土地が長く抱えてきた時間そのものだったのだと思った。

この旅の足跡

  1. 螺旋を上っているのに、同じ道を戻らない。飯盛山のさざえ堂は二重螺旋の木造建築で、足音まで別の層へ逃がしていくようだった。
  2. 御薬園の心字の池は、庭の中心に静かな間をつくっていた。薬草の庭という実用の記憶と、抹茶をいただける時間が隣り合うのが面白い。
  3. 福島県立博物館では、会津の歴史だけでなく民俗や自然まで同じ建物でたどれる。外の蝉時雨から展示室へ入ると、音のない時間も資料になる気がした。
  4. 鶴ヶ城の赤瓦は、雪国の寒さに耐えるために生まれた色だという。白い雲の下で見上げると、城は防御の建物から空へ音を返す大きな楽器に見えた。
  5. 會津壹番館は野口英世ゆかりの通りにあり、朝8時からモーニングを出している。古い街の物語を、湯気の立つ一杯でいったん現在へ戻した。
  6. 末廣酒造の嘉永蔵では、10時から案内付きの酒蔵見学がある。木造の蔵と仕込みの気配を前にすると、見えない水や米まで低い音を持っているように感じた。
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