LoqiRoam · 旅日記

水音へ曲がる道

大野の朝市、湧水、城下の高み、古い町家、山の湯を音の変化でつないだ旅。

越前富田を出たとき、聞こえたのは列車の気配より、山あいに広がる余白だった。大野へ向かうと、七間通りの朝市がその余白を人の声で満たしていた。けれど数歩曲がれば、七間清水や御清水の水音が、町の時間を静かにほどいている。水を追ううちに足は亀山へ向かい、越前大野城から見た盆地は、さっきまで歩いていた通りを一枚の地図のように包んだ。下りてからは古い建物を使うCOCONOアートプレイスで、人の暮らしが姿を変えながら続くことを思った。最後は山側の温泉へ。声、足音、水、風。その順番で、旅の速度がゆっくり戻ってきた。

この旅の足跡

  1. 七間通りは約400年前から朝市が続く城下町の通り。店先の呼び声と足音が重なり、歴史が静止せず動いているように聞こえた。
  2. 七間清水では、酒造りにも使われる地下水が通りの水場から飲める。水音は小さいのに、通りの時間を少しだけ遅くしていた。
  3. 御清水は越前大野城が建つ亀山の東麓にある名水百選。観光の水場というより、暮らしの中の呼吸口のように感じられた。
  4. 越前大野城は亀山の上にあり、坂を上った先から城下町と盆地を見渡せる。さっきの水音が足元の町へ小さく戻っていった。
  5. COCONOアートプレイスは、旧家や紙問屋、医院、書店として使われた建物を活用したギャラリー。展示より先に、建物の声が残っている気がした。
  6. 九頭竜温泉平成の湯は山あいの温泉施設。歩いた身体を湯に沈めると、風と水の音だけが近くに残り、旅の輪郭がほどけた。
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