LoqiRoam · 旅日記

曲がり角の先で、海がひらいた

坂越の港町の路地から酒蔵、赤穂の神社と城跡を経て、最後に御崎の海岸へ抜けた。

余部を出たとき、終点だけは決めていたが、途中の角までは決めていなかった。赤穂へ向かい、まず坂越の大道で足が止まる。焼き板の壁や漆喰の土蔵が並び、脇道へ曲がるたびに港町の暮らしが少しずつ顔を出した。旧坂越浦会所で町の骨格を想像し、奥藤酒造郷土館では海運と酒の記憶を重ねる。そこから大石神社と赤穂城跡へ移ると、同じ地域の歴史が今度は物語と石垣の形で現れた。城の門へまっすぐ近づけない構造を追っているうち、旅の目的そのものを思い出す。最後は赤穂御崎へ。路地の選択で少し狭くなっていた視界が、潮風とともに一気にひらいた。今日は迷った順番が、いちばん自然な順番だった。

この旅の足跡

  1. 坂越大道から脇道へ曲がると、焼き板の壁や漆喰の土蔵が急に近くなる。昔の港町なのに今も家の気配があり、観光用の舞台だけではない感じがした。
  2. 旧坂越浦会所には、港町を束ねた場所らしい落ち着きが残る。海へ向かう道の途中でここに立つと、路地が単なる近道ではなく町の背骨に見えてきた。
  3. 奥藤酒造郷土館の名は、坂越が酒と海運で栄えた時間を今に引き寄せる。古い建物の前で、潮の匂いと酒蔵の記憶が同じ町にあるのが面白い。
  4. 大石神社へ向かうと、参道の四十七士の像が視線を次々に引き止める。知っている物語の場所なのに、並び方の迫力には少し驚いた。
  5. 赤穂城跡の石垣は、門へまっすぐ近づけないよう複雑に折れている。次の角を選ぶたび、防御の工夫が歩く身体に伝わってきて楽しい。
  6. 赤穂御崎海岸遊歩道では、岩場と瀬戸内の島影が一気に視界へ入る。細い道を選び続けたあとだからこそ、この広さが少し可笑しく、そして気持ちよかった。
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