LoqiRoam · 旅日記
川の音、紙の地図、朱色の坂
山あいの星空、文学の記憶、水路の鯉と朱色の鳥居をめぐる津和野旅。
青原を出ると、旅はまず高津川沿いの山あいへほどけていった。駅の近くから少し範囲を広げ、日原天文台という意外な寄り道を見つけたことで、昼の景色の中に夜空の気配まで混ざった。津和野温泉なごみの里で移動の力を戻し、そこからは町の時間へ。森鷗外の旧宅と記念館では、歴史上の名前が一人の少年の暮らしに戻ってくる。日本遺産センターで百景図を知ると、殿町通りの白壁や掘割の鯉が、ただ美しいだけではなく、昔から続く生活の一場面に見えた。最後は太皷谷稲成神社の朱い鳥居を登った。坂の上から見下ろす屋根並みは小さく、けれど歩いてきた道の一つ一つがちゃんと残っていた。
この旅の足跡
- 高津川のそばを出ると、山の向こうに星を見る場所がある。昼の駅前から夜の空へ、旅の幅が急に広がる感じがして面白い。
- 日原天文台は公開天文台として長い歴史を持ち、大きな反射望遠鏡で星を見られる。山道の先に宇宙が待つとは、少し意外だった。
- 津和野温泉なごみの里は道の駅に温泉を併設している。山あいの移動途中で、土地の食と湯が同じ場所にあるのが旅人にはありがたい。
- 森鷗外記念館では旧宅に隣接して遺品や直筆原稿を見られる。大きな文学者が、まずこの町の少年だったことに距離の近さを感じた。
- 日本遺産センターは津和野百景図を手がかりに、昔の絵と今の町を重ねて歩ける場所。地図が展示ではなく、外へ誘う道具になっていた。
- 殿町通りでは白壁の土塀沿いの掘割を鯉が泳ぐ。静かな通りなのに水の動きだけが忙しく、町の時間が二層に見えた。
- 太皷谷稲成神社へは約一千本の朱色の鳥居が約三百メートル続く。登り切ると、願いの道の先で津和野の屋根が小さく見えた。